今朝、セミが鳴いていなかった
今朝、起きてセミの鳴き声が聞こえてこない事に驚いた。
数年前までは、セミの事を気に掛けた事も無かったのだが、ここ数年来、気にするようになった。
毎年、梅雨明け少し前から、ジャンジャカとうるさく鳴き始める。
今年はヒグラシが多く、早朝4時5時から鳴き始め、夕方の帰宅時間にも鳴き声がよく聞こえていた。
ヒグラシという名前もどこ吹く風、明け方にも鳴くのだ。
近くで大音量で鳴かれると、風情もクソもない。
おかげで寝坊知らずである。
私の住んでいる地域は、クマゼミが優勢で、これも早朝からよく鳴いている。
地方都市の郊外なので、そこそこ自然があり、セミも大量に発生する。
並木道を歩いていると、頭上から大量のセミの声シャワーに襲われる。
それこそ、耳をつんざくようなセミの声である。
ある時、そういう状態の中を歩いていて、あまりの大音量のセミの声に、耳がキーンとなって、逆に音が聞こえなくなり、シーンとしてしまった事がある。
この時に、ふと思い出したのが、
「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」
という松尾芭蕉。
この句の「閑かさ」とは、この状態の事なんじゃないかと思うくらい、耳がやられて聞こえなくなったのだ。
そして、一週間ほど前からツクツクボウシが鳴き始めた。
ヒグラシと入れ替わる様に、聞こえるようになった。
ヒグラシの鳴き声は、もう聞こえなくなった。
セミにも種類があり、鳴き始める時期が少しずつ異なる。
地域によっても、セミの種類は異なる様だ。
何年か前に、ニュース番組で靖国神社が画面に映し出されていた時、バックには
「ミ〜ンミンミンミ〜〜」
と、ミンミンゼミの大合唱が流れていて、すごく不思議な気分になったのだ。
こちらでは、ミンミンゼミは滅多に聞こえない。
たまに、一匹だけ何処かからはぐれて飛んで来たのか、淋しく鳴いている事があるくらいである。
そんな感じで、お彼岸の頃までは入れ替わり立ち替わりでセミの大合唱が続くのだが、今朝はなぜかセミが鳴いていなかった。
そう言えば、早朝はなんとなく秋の様な日差しと、さわやかな空気。
秋が来るのが早まったのか、いつもより涼しく快適な季節を長く満喫できるのか、とちょっとウキウキしてしまった。
と思ったのも束の間、朝8時になろうかという頃には、すっかりいつも通りの、クマゼミとツクツクボウシの大合唱。
そして、おそらくはクマゼミの声に掻き消されて聞こえないアブラゼミ。
その後、どんどん気温は上がり、35度超。
ただ、湿度はいつもより低いらしく、カラッとしていて、幾分しのぎやすかった。
この時期に乾燥しているのは珍しいと思っていたら、ちょうど夕方の天気予報でその事を説明していた。
いつもなら、南の太平洋から張り出すはずの高気圧が、現在は大陸方面から張り出しているらしい。
そのため、大陸からの乾燥した空気が入ってきて、朝晩がカラッとして秋の様に感じられるのだそうだ。
乾燥注意報まで出ていた。
昆虫たちは、湿度の変化を感じとって活動しているんじゃないか、という説明だった。
昆虫ってスゴイかも、と前々から思っていたのだが、本当にそうなのかもしれない。
毎年、ピタッと秋分の日から鳴かなくなるんだよなぁ。
それと入れ替わりに、次はコオロギがリンリン鳴き始める。
地球って断然昆虫の星だよね、と思う瞬間だ。