ブーメランが刺さった日
えーっと。
まー、またやられちゃったワケなんだけどね、おばちゃんに。
もう一人の“真摯さ”のカケラもない人物なので、しょうがないと諦めるしかないのだが、それにしてもなぁ。
資格やら何やらの関係で、ちょっと大きく工事担当者の入れ替えがあった。
それに伴ってシステム上に登録されている担当者を変更登録しなければならなくなった。
しかも、
「A工事とB工事の担当を◯◯さんから××さんに変更」
くらいの入れ替えならすぐに終わる作業だが、
「A工事を◯◯さん、B工事は××さんに変更して、後の進行中の工事は全部△△さんに変更」
とかいう、ホントかいなというオール変更の指示がおばちゃんから回されてきた。
結局、数十件全部、何等かの変更登録をしなければならない。
あーやれやれ。
いちいち全部変更登録すんのかーい。
と思いながらも、やらなければならないのでしょうがなくシステム上の変更をさっさと終わらせた。
とはいっても、私がやっている処理は社内のシステム上の問題なので、やっていなかったり漏れがあったりしても、検索に引っ掛からないだけで、
「あ、変更漏れてました。すみません、すぐやります」
と言ってやればすぐ出来るただの社内処理仕事なワケで・・・
まぁ、いつまでも抱えているのが嫌いな私としては、言われてから翌日にはサッサと処理を済ませ、上司連中に承認印をもらい、なぜか私が入力して各箇所長に印をもらった書類をおばちゃんの方でファイリングするといういつもの流れ通りに、戻されてきた大量の書類をおばちゃんに渡した。
「はい、これ。昨日言われてた担当者変更した分のやつ」
と言って渡すと、おばちゃんは
「あー!あ!あ!コレ!あー!もう変更したんだ!あ!あ!」
とかなんとか量が多くてビビったのか、早く回されてビビったのか、タドりながら受け取っていた。
さらにその翌日。
おばちゃんが、またタドりながら
「goru-goruさん!コレ!コレ!昨日のやつ!コレ!全部変更したでしょ!」
と大声で言ってきた。
「うん、変更登録したけど」
と答えると、
「もう!なんで全部やるのよ!A社の工事だけで良かったのにー!B社の方も変更しちゃってるジャン!!」
はぁぁぁ~~~???
アンタ後は全部△△さんに変更ってメモにまで書いて渡してきたじゃないの。
つまり、A社から受けた工事とB社から受けた工事があって、変更するのはA社から受けた工事だけで良かったということらしい。
ま、そんな事は聞いてなくて、進行中の工事は全部変更って聞いたからAもBも全部まるっと変更したワケだが。
「もう!一応課長にはもう一回確認するけどさー、A社にしか担当者の変更届出してないんだから、勝手にB社の分まで変更しないでよ!課長に聞いてからもう一回言うから!またちゃんと元に戻してよね!」
と、自分の伝達の至らなさは棚に上げてプリプリ怒っていた。
あー、めんどくせ~。
どうせ自分は悪くないとかでまた人のせいにするんだろーなー、と思ったので、
「あー、そう。違うんだったらまた変更するから」
とだけ言っておいた。
なんとなくの聞きかじりで、なぜ全体的に担当者を変更するのかを小耳に挟んでいたので、自分でも勝手に「ああ、だから全体に担当変更するんだな~」と思っていた。
それもあって全部の工事を変更したのだが、A社だけだったんか~い。
と考えながら仕事に戻った。
要するに、それぞれ受け持つ金額の上限が担当者の保持資格によって決まっているため、大きな工事を受け持つ人は他の工事をかけ持ち出来ない。
最近大きな工事の契約があって、その担当者が今まで持っていた工事に名前を載せる事ができないので別の人に入れ替えるという話しだったのだ。
その翌日、おばちゃんがおばちゃんの上司である課長にその旨を尋ねていた。
「課長!あの!あれ!変更のやつ!あれ!」
と、思いっきりタドりながらよくわからん説明をすると、その上司は
「ああ、goru-goruさんが変更してくれてたやつね。もう回ってきたから見たよ」
と言うと、おばちゃんが
「あれ!A社のだけで良かったのに、goru-goruさんがB社の分も変更しちゃったんです!アタシはA社にしか担当者の変更届出してないのに!goru-goruさんが勝手にB社も変更しててー!・・・」
と、案の定鬼の首でも取ったかのように私を悪者にして説明していた。
あー、はいはい。
もういつものお約束だよなぁ~。
悪いのは説明が足りないアンタではなく私ですよ、そうですよ、とすっかりやさぐれた気分で聞いていた。
すると、そのおばちゃんの上司が
「えっ?!変更届、A社しか出してないの?!」
と驚いて訊き返していた。
え?なになに?
何やら雲行きが怪しいではないか。
どゆこと?と思いつつ聞いていると、今度はおばちゃんの方が驚いて
「え?…えっと…A社に出しただけですけど…モゴモゴモゴ…」
と、なにやらはっきりしない返事をしていた。
「え?どっち?B社にもちゃんと出してくれてるんですよね?まだ出してないの?」
と、その上司は詰め寄るように尋ねていた。
おばちゃんは
「え、A社しか出してませんけど・・・え?え?アレ?え?B社にも出すんですか?」
と恐る恐る訊き返していた。
おばちゃんの上司は
「うん、そう。全体的に変更するって言ったでしょ?だからA社もB社もちゃんと変更届出してくれないと、工事が進められないんだよ。早く提出しておいてくれないと工程の関係もあるからね!なんだよ~、goru-goruさんが全部変更登録してくれてたから届け出し終わってるのかと思ってたよー。それ、一番急ぐやつだからちゃんとお願いしますね!」
と、逆におばちゃんにキツめに念押ししていた。
ええええぇぇぇぇぇーーーー?
何そのブーメラン??
つまり私がやった全件変更で合っていたのだった。
一番関わっていて分かっていなければならないおばちゃん本人が一番理解しておらず、きちんと提出しなければならない物も出来ていなかったのだ。
それを、後からどうとでもなる社内処理に対してギャースカ拘ってばかりいて、最も重要な取引先に対するアプローチが抜けまくりだった。
おばちゃんはまた恐る恐るその上司に
「あの、えと、あの、あ、えと、なんで全部の工事の担当者変えるんですか?今までAもBも全部変えたことないから~、えと、あ、え、Aだけ変えるんだと思っててー・・・」
と尋ねていた。
はぁーーーー?!
今~??
ごめん。
小耳に挟んだだけの私ですら「そうか、だから全件変更なんだな」と思ったくらいなのに、実際携わってて直接上から指示されてるハズのアンタがなんでその理解なん?
すっかり耳を疑ってるうちにそのやり取りは終わり、やっとおばちゃんが自分の
仕事を理解したようだが、私、なんでおばちゃんに怒鳴られたんだろー?
まぁ思った通り、その後の報連相は全くナシ。
「私の処理が抜けてた。goru-goruさんので合ってた。ごめん」
みたいな言葉もない。
あれだけギャンギャン喚いて人の仕事にケチつけていた割に、私の変更登録で良かったのか悪かったのか修正がいるのかいらないのか、何の一言もなくそのまま進んでいた。
という事は、結局私の登録で正解だったのだろうが、何か一言あっても良いんじゃあるまいかー。
あー疲れるわーーーー。
シナチョンと仕事したらこんな感じになるのかねー。