goru-goru綴り

日頃のもやもやを書き綴ります

高機能さんの事3

しばらく天狗のまま好き勝手に過ごしていた高機能だったが、ある時大転換が訪れた。

 

前任上司の異動が決まったのだ。

 

入れ替わりに来た後任の上司がロボットである。

この人は、自分がトンチンカンであるにもかかわらず、他人にはやたらと厳しい。

高機能については、以前からよく知っているらしく、仕事も人間性も全くダメだという事を既に理解していた。

だが後に「ここまで酷いとは思わなかったなぁ~」と言っていたので、高機能の不出来さ加減は想像以上だったのだろう。

 

高機能にとっては、今までのおだてられて持ち上げられての扱いとは全く真逆。

とにかくガミガミ叱る。

おかしな部分はとことん追及し、責める。

高機能が答えられないと、大げさに溜め息をつく。

その後、長いお説教が始まる。

その繰り返しで、今や高機能はすっかり卑屈な人へと大変貌を遂げてしまった。

以前の天狗は一体どこへ行ったのか?

 

ロボットに説教されている間は言葉に詰まり手がプルプルと震える。

答え方が常におうむ返しで、どもりながら返答するようになった。

 

実は、前任上司だった頃にはこの症状は全く見られなかった。

ロボットに代わってから、やたらとおうむ返しで返答してくるようになったのだ。

症状が悪化しているのかもしれない。

 

ロボット相手だけでなく、他の人相手でもこの症状はよく見られるようになった。

以前は必ず前任上司と二人一組で行動しているような所があったが、今のロボット上司は面倒見が良い方ではないので、突き放して接している。

良く言えば、個人として対等に接しているというか・・・良く言い過ぎかもしれない。

 

どちらかと言うと、下の人に目を掛けて引っ張って行くタイプではなく、自分が上から気に入られようとしている人である。

なので、部下に対してえこひいきや特別かわいがる事はしないし、失敗を大目に見る事もない。

感情的ではないので、経緯を見て判断せず出来上がりだけを見て判断する。

とにかく、どストレートに結果で評価する。

期限までに仕上げる事ができなかったが、諸々の事情があったからしょうがないよね、頑張って仕上げたんだよね、などとは決して思わない。

どんな事情があれ、必ず期限までに仕上げていなければもう評価はバツなのだ。

 

という事は、高機能にとってこれほどの天敵がいたであろうかというくらい、相性は最悪なのである。

 

そして現在は、すっかりショボくれた感のある高機能の存在感はほとんど無くなってしまった。

前任上司の頃は色々と引き上げてもらって、得意先の接待などにも一緒に参加していたようだが、今は見る影もない。

高機能さん?そんな人いたっけ?というくらいの存在になってしまった。

だが、相変わらず財務資料の作成の仕事は引き続き行っているため、月に一度の会議では高機能が自分で発表しなければならない。

コレが今、社内での問題点になっている。

 

以前は前任上司が高機能の機嫌を取りつつ、なんとか会議資料の作成まで漕ぎつけていた。

支社長への説明でも、フォローしながらやっと仕上げてきたものを、今は高機能一人で誰の助けもなくやらなければならない。

ロボットが手伝うワケがない。

そして案の定、毎回全く出来ておらず、毎度ロボットから叱られているのだ。

ちなみに異動でロボットに代わってから1年経つ。

 

かろうじて、救いといえば支社長も交代した事くらいだろうか。

前任上司が居なくなってから約半年後に支社長と他部署の管理職が交代した。

以前のイヤミな器の小さい人ではなく、陽気で人懐っこい温和な支社長に代わったのだ。

他部署の管理職も、以前のような失敬な荒っぽいハラスメント男ではなく、落ち着いた人に代わった。

 

このおかげで、私はすっかり職場の空気が一転して透き通ったような気がしたのだ。

だが、高機能にとっては澱んだ暗黒の日々になってしまったようだった。