絶縁リスト2
前回のエントリー記事でも書いたように、学生時代はずっとクセのある同級生に振り回されていた。
高校を卒業し、そのまま併設されている短大へ進学した。
だがこの時、我が家の経済状況は火の車で、本当なら進学などしている余裕はなかった。
実は、高校に入ってからも再度転居したのは、父親の商売がうまくいかず店をたたむ事になったからなのだ。
それでも両親(というか母)は、なんとか工面して私立の女子校にそのまま通わせてくれた。
そのかわり、小遣いはゼロ。
バイトをしようにも、学校自体がアルバイト禁止で沿線でも有名だったので、そもそも雇ってもらえず、雇ってもらえてもすぐにバレる。
家計の内情を薄々理解していたのと、少しでも自分の小遣いが欲しかった私は、高校卒業後はどうしても就職したかったのだが、母がせめて短大は出てくれと泣きついてきた。
そして、母がまたどうやってか工面してきて、結局そのまま進学した。
またこの短大時代が本当に暗黒だった。
ちょうどバブルで世間が浮かれている真っ最中だった。
同級生はみな裕福な家庭のお嬢様で、厚化粧とブランド物に身を包んで登校していた。
私だけが毎日ジーンズにトレーナー、スッピンという地味で安っぽい姿で登校して、逆に悪目立ちしていた。
だが、短大からはアルバイトも解禁なので、ほとんど毎日アルバイトで過ごしていた。
それでもバイト代が全て自分の小遣いになるかと言えばそうはいかず、やはり無理をして学校に通わせてくれていたシワ寄せはこちらにやって来る。
学校へ支払う分は親がなんとか工面できたが、他にかかる費用はすべて自分のバイト代で賄うしかなかった。
文房具代、教科書代、交通費、衣服代、その他諸々。
同級生達が毎日合コンや旅行の相談をしているのを横目に、私は毎日学校からバイトへ直行の日々だった。
その同級生達から何度か合コンや飲み会に誘われた事もあるが、毎回断っているうちに誘われなくなった。
バイトで忙しいのもあったが、金銭的な余裕もないし、着ていく服もない。
当時の同級生たちが夜毎遊び歩いていたような、某有名ディスコ(懐かしい(°▽°))などに入ろうものなら、入口で黒服とやらいう人に止められて入れない。
まぁ行けるワケがないのだ。
そんな状態だったので、毎日クラスで顔を合わせるから話すというだけの友人はいたが、一緒にどこかへ遊びに行ったり悩み事を相談するような友人らしい友人は一人も出来なかった。
短大は4年制の大学とは違い、2年間しかない為、時間割がタイトで授業がぎゅう詰めになっている。
短大にもよるだろうが、サークル活動も活発ではない為、親しい先輩や後輩が出来たり、別のクラスの友人が出来たりという事はほとんどない。
しかも、私の場合2年間のほとんどをアルバイトで過ごしていたので、無理をして通わせてくれた親には悪いが短大での記憶はほとんどない。
そんな記憶にも残っていない短大時代でも、例のクセのある子の絡みは続いていた。
その子も同じ短大に進学した為、学科は違っていたが行き帰りで顔を合わせる事がある。
その為、色んなものに誘われて断るのが大変だった。
いちばん辟易したのが卒業旅行だった。
卒業間近という時に、学生最後の思い出に旅行に行くから一緒にどうかと誘われたのだ。
行先はディズニーランドだった。
卒業後も、就職ギリギリまでバイトをしていた私は到底無理だった。
なので、最初は「ずっとバイトが入ってるから無理」と断ったのだが、向こうがやたらと粘る。
「なんとか調整したら行けるんじゃないか」とか「最後くらい一緒にどこかに行こう」などとしつこく誘ってくる。
そもそも金銭的にも余裕がなかったので、日程を調整したからどうのという問題ではなかったのだ。
あんまりしつこいので、とりあえず「考える」と返事をしておいた。
すると、数日経ってから
「旅行どうするか早く決めてくれないかなぁ。goru-goruが行かないなら行先をディズニーランドじゃなくて北海道のスキー旅行にするつもりなんだよね。そろそろ予約取らないとマズいし、いつまでも返事延ばされると困るんだけど」
と言われた。
だーかーらー、最初に断ったじゃないかよ、と思いながらも、ここまで急かされたら逆に再度断りやすいと思い、
「ああ、そうなんだ。そういう事なら私やっぱり無理そうだから、皆で北海道楽しんで来て。返事引き延ばしてごめんね」
と、はっきり断った。
しかし、私が行かないなら北海道って何なんだよ。
本当は皆北海道に行きたかったけど、私のために安上がりで行けるディズニーランドにしてやったと言いたいのだろーか。
まぁ、これではっきり断ったしスッキリした気分でいたのだが、また数日経ってクセのある子から連絡があった。
「どうしてもダメかなぁ?働き出したら遊びに行く時間がなくなると思うし、これが最後だと思うんだよね。思い出にもなるしさー、一緒に行こうよ〜」
と、また振り出しに戻っていた。
一体何度断ったら決着するのか、この話は。
特に一緒に行きたいとも思っていなかった私は、あまりのしつこさにイライラしながら再度はっきりと断った。
それでやっとあきらめたのか、予約の日が迫っていたのか、もう誘ってくる事はなくなった。
後々この話の真実を聞いて呆れた。
実はクセのある子の幼馴染が関係していたのだ。
よくよく聞いてみると、幼馴染とはいえ、好き好んでクセのある子と行動を共にしていたワケではなかったらしいのだ。
幼馴染は幼馴染で、日々クセのある子に振り回されて辟易していたところ、私という緩衝材が現れたおかげで少し被害が緩和されていたようだ。
卒業旅行のメンバーには幼馴染もいて「goru-goruちゃんも一緒じゃないと行きたくない」とゴネていたらしい。
クセのある子にしてみれば、私はどうでも良いが幼馴染の機嫌を取るために必死で私に誘いを掛けていたのだろう。
当時はこんなカンジで、実際はイヤイヤながらも表面的な付き合いという関係の友人しかいなかった。
短大に進学してからは、高校時代に仲の良かった同級生達とは進路もバラバラになり、私もバイトバイトで忙しくてすっかり疎遠になってしまった。