若手くん、色んな意味でキレる
高機能の引き継ぎ最終日前夜、とうとう若手くんがキレた。
この日はロボットが休みで不在。
高機能と若手くんが二人で引き継ぎを進めなければならなかった。
そもそも右も左もわからない若手を、すっかり高機能に任せて休んじゃうロボットの感覚が私にはサッパリ理解の範囲外ではある。
高機能がどんどん脈絡なく次から次へと淡々と説明をするもんだから、とうとう若手くんがパニクッて
「そんなに次から次へとアッチコッチ説明されてもわかりませんよ!そんな説明の仕方で理解できると思います?!」
と、キレてしまった。
まぁ、そうだろうなぁ。
ところが空気の読めない高機能は淡々と続ける。
「う~ん。ま、いいからいいから。聞いといてくれたらいいから」
若手くんは少々呆れぎみに
「もういいです。これ終わったら後でやりますから」
とムッとした表情で答えていた。
若手くんの怒りに全く気付いていない高機能は
「あ、そう。じゃ、後でやってね」
と火に油を注ぐがごとく平然と返答していた。
そしてその翌朝。
出勤してみると、若手くんが何やら放心状態の表情でロボットに向き合っていた。
若手くんがどう話したのかはわからないが、ロボットが
「おまえ今日はもう詰めてやらなくていいから、ゆっくり休んでおけ」
と若手くんに向かって言っていた。
オメーも若手を放置してのんきに休んでんじゃねぇよ。
と、まず思ったのはさておき、どうやら「あの引き継ぎじゃ無理」みたいな事をロボットに訴えていたのだと思う。
そりゃ無理だよ。
高機能のダメさは全社的に有名らしいので、若手くんも来る前からさんざん聞かされて警戒心だけがどんどん膨らんでいたのだと思う。
高機能の言う事がハナから全部間違っていると思い込んでいる。
しかも、高機能は高機能でハキハキと質問に答えない。
「え〜っと、アレ?どうだっけ〜、うーん、ちょっと待って。えーっと、えーっと…」
と、さも自信なさげに答えるので若手くんからしたらもう信用出来ないらしい。
高機能の説明が本当かどうか、元いた支社の上司や先輩にいちいち電話で確認をとっていた。
はぁー、前途多難だなぁ。
高機能も高機能だが、若手くんは若手くんで、どうやら元々心配性な性質らしい。
まぁなんとかなるか~、とか、ちょっとくらい失敗しても死なない死なない、といった胆力は持ち合わせていなさそうだ。
そして高機能が来なくなった初日。
早速若手くんが手を入れ始めた。
以前いた支社の仕様通りに全てを変えたいらしく、今まで使っていた表などの書式を一気に変えようとしている。
一応、
「goru-goruさん、すみません、これちょっと変えたいんですけどいいですか?これを変えると入力箇所が変わって面倒かもしれないんですけど・・・」
とかなんとか私に了解を得つつ、今一生懸命取り組んでいるようである。
まぁ私はアシスタント的な立場なので、渡されたものを言われた通りに処理するだけである。
「ああ、どうぞどうぞ、使い易いように改善してくれたらいいと思いますよ」
とは言ってあるが、あまりにも以前のやり方に拘り過ぎていて、「キミ、郷に入っては郷に従えという言葉を知っているのかね?」くらいの事はちょっと思うよね。
高機能のやり方を排除したいのはわかるが、しかも前支社での上司から色々聞かされて来たのもわかるが、ここでのやり方がすべてバツっていうわけでもないんだよなぁ。
その改善しようとしている表などは、前任の前任の上司がエクセルで作った力作であるし、高機能に関して言えば仕事は全くダメダメだったが、社労士の勉強もしていただけあって知識は断然豊富なのである。
公共機関への届出や必要書類などに関しては、本当に詳しかったのだ。
仕事に活かそうとしないだけで。。(^-^;
(これは面白そうなので別のエントリー記事であげることにしよう)
だが、若手くんはもうそこから疑っている。
高機能が残していったファイルをくまなく調べ、保存しなければならない書類が本当にそれで合っているのかなど、じゃんじゃん元いた支社に電話をかけまくって調査中である。
まぁ気の済むまでやってくれれば良いと思うが。
若手くんは入社以来異動になったのは今回が初めてだそうだ。
なので無理はないが、この会社は異動が多い。
今後も異動する度に以前のやり方に拘っていると、まぁまぁしんどいんじゃないかなぁと、老婆心ながら心配してしまった。
私は派遣歴が長いので、頭を切り替えてそこのやり方に合わせるという作業には慣れている。
なので急に仕様を変えられてもある程度は対応できる。
だが、他所の支社でそれをやってしまったらどうなんだろうか。
今までのやり方を否定された気分って、意外とムカつくからね〜。
覚え直すのも面倒だし。
反発くらう支社もあるんじゃないのかなぁ。
まぁ取りあえずはここでそれを学ぶ事は無いと思う。
ロボット自体が元々経理畑ではない為、何が正しくて何が間違っているのかよくわかっていない。
高機能が全くダメという事だけは理解している。
その為、若手くんには既に「高機能よりは断然デキル子」という烙印を押してしまっている。
若手くんが何をやってもOKを出すだろう。
若手くんの今後は次の配属先の支社にかかっている。
次の支社では正当に揉まれて鍛えられてくれと切に願うよ。
あーあ。