goru-goru綴り

日頃のもやもやを書き綴ります

とうとう、前任の上司について書いてみる その4

何が面白いって、前回のこのシリーズ(?w)の記事で書いた送別会の翌日に、早速事件は起こった。

 

ある社員が一人、前任者の所へやってきて言った。

 「昨日の送別会の時にお餞別渡してませんでしたけど、無くて良かったんですか?」

 

定年退職が1名、異動が2名、計3名。

確かに、今回はお餞別のお金を集めていなかった。

なぜかおばちゃんも騒いでいなかった。

私は気付いていたが、敢えてどうするのか訊かずに放置していたのだ。

 

すると前任者は驚いたように

 「えっ?いつも餞別渡してたの?」

 と初めて知ったように聞き返していた。

 

やっぱり知らなかったのか。

さすが高機能、ちゃんと説明してなかったんだろうなぁ、幹事のクセに、と思いながら、やり取りを聞いていた。

 

尋ねてきた社員が

 「いつもは皆からお金を集めて、何か品物を買って渡してたんですよね~。今回は無かったからちょっと気になって。今後なしにするっていうんなら良いんですけど」

 と答えていた。

 

前任者は慌てたように

 「いや、オレ餞別の事ぜんぜん聞いてなかったわ。今までやってたんだったら、ちゃんとしないとマズいよな。うわ~、どうしよう・・・」

と言った。

 

その社員も

「あ、そうなんですか。今までの人には渡してたし、やっといた方がいいんじゃないですかね?」

と答えて出て行った。

 

前任者がこちらに来てから初めての送別会だったので、勝手がわからなかったのだろう。

が、それをフォローして、いつもの慣習を伝えるのは、一緒に幹事をしていた高機能の役目である。

おそろしく典型的、そしていかにも高機能らしい失敗だ。

何かやらかすと思っていたら、本当にやらかしていた。

 

その後、案の定、前任者のカミナリが高機能に落ちていた。

 

「高機能くん、お餞別の事知ってたんだよね?何で早く言わないんだよ!もう皆異動の準備でこっちには出勤して来ないよ!渡す時ないじゃない、どうするんだよ?!」

と、相当キレていた。

 

高機能は

「あー、お餞別・・・そういえば、いつもお金集めてたような・・・あ、え、うん、あー、何か買って渡してたかな、あ~・・・」

 

とかなんとか、イマイチ要領を得ないように、アワ、アワと口ごもりながら返事をしていた。

 

前任者はあきれたように、

 「もういいよ・・・取り敢えず、すぐに皆からお金集めてきて。何か買って本人達に送るから」

と、高機能に指示していた。

 

高機能はワタワタしながら

「あ、お金、あ、今から、あ、えと、集めてきます」

とかなんとか言って出て行った。

 

少し間が空いてから、前任者が私に向かって言った。

「goru-goruさん、すいません。後になって申し訳ないんですけど、お餞別のお金集めますんで、goru-goruさんもお願いできますか?」

 

てっきり、「なんで教えてくれなかったんですか!」とドヤされるかと思っていた私は、少々拍子抜けした。

何か言われたら言い返す気満々だったので、なんだかつまらない。

しかも、わざとムカつかせてやる前に、もう相手はすでにムカついている。

 

ああ、面白くないとばかりに、

「ああ、お餞別ね。そういえば今回集めてないなぁと思ってたんですよね。高機能さんから聞いてないはずないし、わざと嫌がらせでお餞別無いのかと思ってました」

と、言った。

 

前任者は目を丸くして

「え?嫌がらせ?嫌がらせしてるように見えたかな・・・?」

とおそるおそる聞いてきた。

 

「違うんですか?本人たちも、オレたちなんで餞別ないの?って思ってますよ、きっと。今まで散々餞別出してきたのに、自分たちは無いってねぇ、あー、かわいそう」

と、追い打ちをかけてやった。

 

私の酷い言い草を聞いて、前任者は

「・・・そっか~。皆、オレがワザと餞別渡さなかったって思ってるのかな・・・」

と、落ち込みながら言った。

 

「私は思いましたけどね。ああ、嫌がらせしてんのか、って。ほんと、酷いわ」

と、ぐりぐり塩を擦り込んでやった。

 

すると前任者はあわてて

「嫌がらせなんて、そんなつもり全然ないんですよ。本当に知らなくて、高機能くんも教えてくれなかったし・・・」

と必死で言い訳を始めた。

 

「へぇ、そうなんですか。私じゃなくて、お餞別をもらうはずだった人達に言ったらどうです?私、別にどうでもいいんで」

と、面倒くさくなってきたので、話を終わらせた。

ついでに言うと、私は言い訳ばかりする人間も大嫌いである。

高機能が教えてくれなかったと言って逃げているが、自分からも聞けば良いだけの事である。

自分も確認を怠ったのだから、高機能だけのせいとは言えないのだ。

 

前任者はガックリ落ち込んだように、仕事をしていた。

どうやら、この人の一番の弱点はその辺りらしい。

人から悪く思われる事が、嫌でしょうがないらしいのだ。

 

そんな性格なのに、よく私に対しては嫌がらせの連発が出来たもんだ、と逆に感心した。

よっぽど私を辞めさせる気満々だったのだろう。

 

そこへ、高機能が集まりかけたお金を持ってワタワタと戻ってきた。

 

高機能が席に着くなり、前任者がワナワナしながら

「高機能くん!本当に、なんでちゃんと教えてくれなかったんだよっ!!」

と、私に言われた事をよっぽど気にしたのか、物凄い勢いで八つ当たりし始めた。

 

あー、ほんとイヤだわ、この部屋。

私までもがどんどん根性が歪んで、さらに磨きがかかっているではないか。

と思いながら、またトイレに行くフリをして部屋を出た。