困った人
職場に、本当に困った人がいる。
私の上司に当たる人物なのだが、以前の記事に登場した上司ではなく、その下に位置する上司である。
私はこの人から直接指示を仰いで仕事をしているのだが、毎日毎日、どちらが上司なんだかわからない様な状態になっているのだ。
まず、一番の基本である「報・連・相」ができない。
そもそも、人とのコミュニケーションに難があるため、人にアプローチする事をまずしない。
呼ばれたり、何かを言われたりしても、返事をしない。
言われた事が出来ていない。
何回叱られてもできない、というより、かたくなにしようとしない。
そのくせ、なぜか他人を小馬鹿にしている。
当然、私の事もバカにしているので、私がちょっと注意すると驚くほどムッとした表情をする。(まあ、立場上、私より上なのでわからんでもないのだが、それなら私に注意させないで欲しいと、毎度切に願っている)
そして、失敗して怒られても絶対に謝らないし、失敗を隠そうとしたり、他人のせいにしたりという姑息さもあって、余計に周囲の怒りが倍増する。
とにかく、他の上司や同僚に迷惑をかけ通し、空気悪くなりまくりなのである。
仕事が出来る出来ないの問題以前に、躾けの問題なのでは?と思うような行動がとにかく多い。
お目玉をくらうよりも、人と接する方が嫌とは、一体どれだけコミュニケーション下手なのかと思っていたのだが、少々事情が違うようであると、一緒に仕事をするようになってから数か月経った頃にわかってきた。
どうやら、自分が何故注意を受けているのかが、全く理解できていないようなのである。
自分は何も悪い事をしていないのに、いつも理不尽に叱られていると思っている節があるのだ。
いや、違うんだけど・・・
もうすぐ40に成ろうかというオッサンが、一体全体、なんでそんな事態になっているのだ。
私はすっかり混乱してしまった。
こんないい歳をした人間が、なんでキホンのキが出来ないのだろうか。
しかも、その上司のおかげで毎日残業の嵐。
いつの間にか、その上司の守り役、フォローが仕事になってしまっており、私はすっかり疲れ果てて、体重が4キロ減っていた。
嬉しいやら悲しいやらである。
ある日、何とはなしに、『似たような境遇の人が解決できたような例』が無いか、ネットで調べてみた。
そこで見つけた。
アスペルガー症候群の特徴
・自分が納得できないことがあると大きな声を出して興奮する。
・仕事の優先順位がつけられない。
・毎日、同じミスをする。
・空気が読めない。
・ミスしても謝らない。
・やっと身についたと思ったのに、次はまた失敗する。
・目的・結果を見据えた「導線」がなく「点」で業務を行う。
・仕事の流れを描けないので、動きや作業に無駄が多い。
・先延ばし癖がある。毎度間に合わない。
・周囲や過去に学ばず、1人だけ独特なことをする。
・用語の正しい意味を知らずに気に入って?使っている。
・返事がおうむ返し。
全部とは言わないまでも、8割がた当てはまっているではないか。
つまり、彼は高機能発達障害だったのである。
その後、この症状について調べまくった。
そして調べれば調べるほど、暗澹たる気持ちになってしまった。
生まれついての症状であるため、治癒だのなんだのというレベルの話ではなさそうなのだ。
特徴の一つとして、一般常識のレベルはまったくダメだが、お勉強が非常に良く出来る、というのがある。
この上司もまさにこれ。
取得するのが難しい資格を、いくつも持っている。
勉学の面では頭が良いので、試験にはスルスルと合格するのだ。
だから周りの人間を見下しており、もっと悪い事に、その資格を鼻にかけている。
唯一の自慢のタネだから、これもわからなくはないのだが…
そして現在も使い物になっていない。
こうやって書き出したものを改めて見てみても、全く良いところなしではないか。
人としてサイテーと言うか、何と言うか…
それでも昇進はするのだから、恐るべし日本企業である。
以前、「明るいバカと暗いけど優秀」にも書いたが、まさに大企業のグループ子会社である。
親で使い物にならなければ、子の方に回されてくる。
年功序列で、出来不出来は関係なく昇進・昇給する。
組合が強いため、余程の不祥事がなければ「解雇」はまず無い。
考えれば考えるほど、ドンヨリする。
だが、最初の衝撃から、もうそろそろ5年が経とうとしている。
相変わらず彼は学習しないし、常に失敗の連続。
唯一マシになったのは、私の残業時間くらいである。
おかげさまと言おうか、その上司の失敗の先回りをして言ったりやったりするクセがついて、残業時間が大幅に減ったのだ。
私の方が学習させられてどうするんだ。
それが周囲に評価されるかと言えば、そんな事は全く無く、しかもその上司当人からも、口うるさいオバさんとしてすっかり嫌われてしまった。
誰のおかげで仕事が進んでると思ってるんだ、と言いたい気持ちを抑え、毎日を淡々とやり過ごしている。
とにかく、日々、彼の無事の異動を願ってやまない。