ラインかメール
で、その食事会の当日。
朝いちでおばちゃんが
「goru-goruさん!goru-goruさん!」
とお茶当番でコーヒーを淹れている時に騒がしくやって来た。
何事かと思っていると、
「今日なんだけどね!一応◯時に予約してあってね!で、旧派遣さんがね、車で来るから店まで送ってくれるんだって!でね!その話、前に簡単にしか言ってなかったから、goru-goruさんひょっとしたら今日行くっていうの忘れてるかもしれないと思ってー!昨日メール送ったんだけどすぐに戻ってきて全然送れなくってね!何回も送ったんだけどー!アドレス変えてないよね?!ね?!」
と一気にまくし立てていた。
あー、そういう事かと思いながら
「ああ、携帯変えたからアドレス変わってるんだよね、わざわざ送ってくれたのにごめんねー。今日行くっていうのはちゃんと知ってたよ」
と答えた。
すると
「えーっ!えーっ!携帯変えたんだー!アタシ知らなかった!聞いてない!ね!アタシ聞いてなかった!メール何回も送ったのに全部戻ってくるし!電話番号知らないから電話もできないし、どうしようかと思ったんだよ!ね!聞いてなかった!ね!ね!」
とまた喚きはじめた。
そりゃそうでしょ。
言ってなかったもんね。
「あ、ごめんごめん。言うの忘れてたわ」
とは言ったものの、まぁ忘れていたのもあるが、おばちゃんと会社以外でやりとりする事など皆無なので、必要ないからそもそも教える気もなかったし。
するとおばちゃんは
「ちゃんと教えてねー!ねー!ラインでもいいし!ね!ね!」
とまた騒ぎ始めた。
めんどくせーな、しかも敢えて教えたくないから黙ってたのに。
と思いながら
「ああ、私ラインやってないから”今度”アドレス教えるわ」
とだけ適当に言っておいた。
今すぐ教えずに”今度”という前提で言っておいたのがミソである。
おばちゃんは
「うん!そうしてね!ね!教えて!ね!ね!」
と言っていたが、あれからすでに数日経っている現在、おばちゃんからの催促はない。
多分忘れてるんだろう。
なぜそこまでして携帯番号とアドレスを教えたくないのかというのには理由がある。
実はだいぶ前に必要があって両方ともお互いに教え合った事があるのだ。
それをおばちゃんは用が済んだら必要なしと消去してしまったらしい。
その少し後、おばちゃんが私の電話番号を消した事を知らずに急用で電話をした事があった。
その時におばちゃんが全然出なくて非常に困ったのだ。
翌日その旨を伝えると
「ああ、goru-goruさんの電話番号もういらないし消しちゃったから。知らない番号から何回も電話がかかってるなぁと思ったけど、変な電話だと思って無視してた」
とにべもなく言われたのだ。
はぁ?と思ったが、まぁそんなもんかもなぁと思って自分の住所録からもおばちゃんのアドレスと電話番号を消去した。
ところがある時、突然おばちゃんからメールが届いた事があった。
私だけ残業で忘年会に出られなくて、夜の9時頃にやっと仕事を終えて帰宅途中の電車でメールが届いたのだ。
「仕事もう終わった?皆で二次会やってるからそっちだけでも来られませんか?」
みたいな内容だったと思う。
もう帰りの電車に乗ってるんだから、無理に決まってんだろーが。
と思いながら
「今帰りの電車に乗ってるのでこのまま帰ります」
とかなんとか返事をしておいた。
つかおばちゃんなんで私のアドレス知ってるんだろうと思ったが、多分他の誰かから聞いたのだろうとそのまま放っておいた。
その翌日、おばちゃんの方から
「昨日メールしたのはね、営業の■■さんが、”goru-goruさんもう仕事終わって来れるかもしれないから連絡して”って頼まれてー、それでメールしたの!アドレスは消しちゃってたんだけど、前に貰ったメールがまだ残ってたから!電話番号はわからなかったんだけどメアドだったらわかったからメール送ったのー!」
とかなんとか話し掛けてきた。
ああ、そういうことね、まぁどうでもいいけどね、と思いながら
「ああ、そうなんだ。なんで私のメアド知ってるんだろうって思ったんだけど、誰かに聞いたのかと思ってた。メール貰った時は丁度電車の中だったから、もうそのまま帰らせてもらったったよ、仕事でしんどかったし」
と答えておいた。
するとおばちゃんは
「今度電話番号教えて!ね!ね!昨日みたいに急に連絡しないといけなくなったりするから!ね!ね!」
と言ってきた。
何言ってるんですかね、この人。
教えてあったのに消したの自分じゃん。
「ああ、電話番号ね、”今度”メモして渡すわ~」
と返事をして、現在も教えていないままなのである。