本当に一匹狼が人を育てるのだろうか?
"うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。
この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。
一流の仕事を要求し、自らにも要求する。
基準を高く定め、それを守ることを期待する。
何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。
真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない。
このような素質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、人づきがいがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと危険である。
そのような者は、マネジャーとしても、紳士としても失格である。"
ドラッカー「マネジメント」より
さて、上に紹介したドラッカー大先生の有名な文章の一部分に、私は疑問がある。
「この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる」
本当に???
この一部だけを抜粋すると、私の身近で知っている人となると、ロボットか若手くんの以前の上司である□□さんなのだが、えーっと・・・
ぜんぜん育ってないよね、後進が(^_^;)
育てようという気もなさそうだしね。
ドラッカーせんせー、どゆこと??
まぁ答えは実に簡単だった。
その後に続く
「好かれている者よりも尊敬を集める。
一流の仕事を要求し、自らにも要求する。
基準を高く定め、それを守ることを期待する。
何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。
真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない」
の部分が全くなってなかったわ。
二者それぞれ、当てはまるものもあれば当てはまらないものもあり。
「このような素質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、人づきがいがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと危険である。そのような者は、マネジャーとしても、紳士としても失格である」
ちなみに、ロボットと□□さんに共通して欠けている項目は
「何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない」
である。
日本社会ではなかなか実践し辛い部分が、二人揃って見事に出来ていない。
なるほど。
全部が揃ってナンボと言う事なのだろうが、残念ながら未だかつてそういう人物にお目にかかった事がない。
一度だけ派遣で働いていた会社に、なんとなくそれ風味の上司がいた事がある。
正社員、派遣社員、契約社員、パートタイマーと、雇用形態が様々揃っていた職場だったが、立場は関係なくそれぞれの能力に沿った仕事の割り振りをする上司で、ほんとうに働きやすい職場だった。
派遣社員からは、他社で働いた経験から意見を求めてそのやり方を採用したり、社員より早く上がるパートタイマーにはそれに合わせた内容の仕事を任せたり。
正社員ではないからと見下すような事はまずなかった。
だが、これは超珍しいパターンである。
大体、どこの派遣先でも入社時には「改善した方が良い部分はどんどん意見を出してくださいね」などと言われるが、いざ意見すると「派遣ごときが生意気に口を挟むな。黙って言われた通りにやってればいいんだよ」と言われて終わり。
そんな風に言われるとこちらとしてももう何も言えなくなる。
結局その職場での改善はまず見込めないし、派遣の立場としても、「わかっていても教えてやらね~」みたいな険悪な空気になって終わりである。
紹介したようなタイプの上司は私が知っている限り、過去、その人のみである。
それでもドラッカー大先生の述べるような、全てが揃った人というわけではないのだ。
こういった柔軟な考え方が出来る人というのは、日本のサラリーマン社会で巡り合うのはなかなかに難しそうではある。
生きているうちに一度でいいからこういうタイプの上司の下で働きたかったなぁ~。