読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

goru-goru綴り

日頃のもやもやを書き綴ります

高機能さんの事1

職場

これを詳しく書くと、この病気で悩んでいる人に悪い様な気がしてあまり詳しく書く気になれなかったのだが、いよいよ本格的にマズい状況になっているので書く事にする。

 

高機能さんが我が支社に配属になってすぐ、当時の上司が仕事の割り振りを決めるというので、ミーティングを行った。

その時にわかった事は、高機能さんはほとんど高機能さんの前任者がやっていた仕事をやった事がなかったという事だ。

まぁ、まずその場の全員が「あー、引き継ぎが大変」と思った。

 

しかも、当時の私は親の介護をしながら働いていて、勤務形態が今とは違っていた。

休みがちだったり早く帰らせてもらったりと、一応フルタイムとはいえ不安定な勤務状況だったので、一人と数えられないような状態だった。

 

高機能さんの前任者が本当によく出来る人で、ほとんどの業務を一人でこなしていて、私はちょっとそのお手伝いをしている程度だった。

 

支社内で誰もが高機能さんの事を知らなかったので、まさか高機能発達障害だとは思っていなかったのもあって、最初はちょっと大変だけど、慣れたらテキパキこなしてくれるだろうと思っていた。

なんといっても、色んな資格を持っているし、やった事がない仕事でも大体の要領はわかっているだろうと思っていたのだ。

 

ところが、全くそうはいかなかった。
まず仕事に関しては、当時の支社長から毎日のようにガミガミ怒られて、まったく改善されなかった。

当時の直属の上司も、高機能さんをフォローしつつもお手上げで放置していた。

 

仕事に関してはそんな感じで全くのダメダメだったのだが、仕事以外のちょっとしたコミュニケーションでも類を見ない不思議さを発揮していた。

不思議ちゃんどころの話ではない。

なんでそんな返事なの?なんでそこでそう動く?など、とにかくおかしな反応が多々あった。

 

特徴としては、まず人の為に何かをしてあげるという発想が皆無である。

そんなに大げさな事ではなく、例えば、別の人宛てに届いているFAXをその人の机に置いておくという事が出来ない、というか、頑なにしない。

自分の分だけ抜き取って、後は元に戻す。

郵便物を郵便受けに取りに行って、自分宛ての物だけを抜き取って、後はまた郵便受けに戻しておいたり。

私が電話中に来客があってもしらん顔で席を立たず、私の電話が終わるまで平気で待たせたり。

運送会社が荷物を配達してきても、知らん顔で応対しなかったり。

 

気が利かないというのともまた違う、妙なところがあった。

仕事上でも、こちらから尋ねないと何も言わないし、やらない。

こちらが待っている事でも、「もう出来た?」「アレ、届いた?」とまずこちらから聞かないと、自分からは全くなにも発信しない。

毎度のことである。

 

一度、イライラして「出来てるんなら聞かれなくてもこっちに渡して」と怒った事がある。

ところが、本人は不思議そうに「なんでそんな事しないといけないんだ?」という表情でキョトンとしているか、私の言い草にムカついてワザとバンッと音をたてて引出を閉めたりと、物にあたるか。

全くやろうとしないクセに、注意されるとプライドが傷ついて腹が立つらしい。

 

だが、こっちに支障が出てダメダメだと思ったので、位は上司であろうが何であろうがお構いなしに、ガミガミ言うようになった。

「こっちの方が急ぐから先にやって下さい」

「今日中にこっちに下さい」

「必ず明日までに渡して下さい」

などなど。

そんなこんなで、勤務時間中ずっと顔を突き合わせている私は毎日グッタリしていたのだが、別のフロアにいるおばちゃんや別部署の人たちには、全くこの苦労が伝わらなかった。

 

実態を知らない人からすると、高機能は口下手で、一見するとドンくさそう。

でも、一生懸命頑張って仕事をしている素直で朴訥な人物に見える。

整理整頓が出来ないので、机の上は散らかり放題。

たまに部署の部屋に入って来る人から見れば、その散らかり具合が大量の仕事に追われてすごく忙しそう、高機能さん、大変そうだなぁ、頑張ってるんだなぁ、という風に見えるらしかった。

なので、まさか郵便物を自分の分だけ抜き取って、残りは元に戻すようないやらしい人間には映っていなかったようだ。

 

私が高機能さんの相手をするのが大変だとグチをもらすと、別部署のほぼ全員

「そんなイジワル言わずにやってあげればいいじゃない」

と言うのだ。

その代表がおばちゃんだった。

おばちゃんは、自分が高機能から直接被害に遭うまでは、ずっとそんな調子だった。

「高機能さん、一人で大変そうだから少しは手伝ってあげれば?」

「あなたは普段から早く帰ったり休んだりしてるんだし、文句言わずにもっと高機能さんに感謝すべき」

などなど。

 

部署の部屋が分かれていたせいで高機能の仕事っぷりが皆から見えず、逆に当時の上司と私が高機能に仕事を押し付けているように見られていたのだ。

 

ところが、上司が次の上司に代わってから変化が起きた。

 

例の「前任上司」である。

 

人事異動で前任上司に代わってから2ヶ月後、ずっと介護していた私の親が他界した。

その1ヶ月後、それまでは派遣社員として勤務していたのだが、丁度派遣期間満了の時期でそれ以降は直接その会社でパートタイマーとして契約勤務する事になった。

 

それを機に、高機能が抱えていた仕事の面倒な物のほとんどが、全て私の方へ振られた。

高機能に一点集中させる為である。

その一点集中しなければならない仕事とは一体何なのか?

要するに、営業計画・予算管理などの、経営計画の財務資料の作成である。

 

我が部署はつまり、総務・経理を兼ねた部署であり、支社内の財務管理は高機能が任されている状態なのだ。

当時の支社長が、高機能の作る資料に不満だらけだった。

前任上司に、高機能がまともな資料が作れる様に教育しろという命令が下ったのだ。

 

高機能の前任者のように、あれもこれもやりながら尚且つ予算管理の資料も完璧、などという神業は高機能にはとても無理である。

だが、高機能に資料作りをやらせなければならない。

となると、その他の仕事を排除してそれのみに集中させるしかないという発想なのだろう。

 

私の怒りを買ったのは、その他の仕事を一切合財私だけに負わせたという点だ。

自分も何某かを受け持っていれば、私の協力体制も少しは違っていたかもしれないのに、一切の説明もなく、高機能から取り除いた仕事はすべてそのまま私へとスライドされた。

しかも、私がやるのが当然とばかりに振ってきた。

 

だが、前任上司は知ってか知らずか、結局、請求売上関係、支払関係、当座管理、現金管理などの経理に関するもののほとんどを私に振ってしまった為、高機能が余計に予算管理資料を作成する為の資料から遠ざかってしまったのだ。

 

今度は、高機能がそこから吸い上げて、資料作成の為の資料を自分で作る事が出来ないからと、それすらも私にやらせる事になった。

 

一体、高機能の仕事は何なのか?

人がお膳立てした数字を、元々高機能の前任者が綺麗に整えた書式の表に入力するだけだったのだ。

 

だが、そこからが高機能にとっての佳境だった。

資料を作るだけなら簡単なのだろうが、支社長に対して納得を得る説明をしなければならない。

実は、その分野が高機能にとって一番の鬼門なのである。

しゃべったら死ぬ病気にでも罹っているのかと思うくらい話が出来ない。

しどろもどろになって、要点をまとめる事が出来ず、何を言っているのかサッパリわからない。

 

まず相手の気持ちが汲みとれないので、わかりやすい説明が出来ない。

質問されても、相手が何を疑問に思っているのかという推測ができないので、適切な答えが返せず、トンチンカンな返事をする。

その繰り返しで、当時の支社長は怒り狂っていたのだ。

 

だが、前任上司の当面の目標は、「高機能が支社長から怒られないようにする」というものである。

支社長の怒りを買わなければ何でもアリだとばかりに、めちゃくちゃな仕事の割り振りをし、結局支社長への資料説明は前任上司が高機能の横にピッタリついて、フォローを入れながら毎回説明して終えていた。

フォローというより、ほとんど口の上手い前任上司が説明して終わっていた。

 

客観的に見て全く高機能に上達は見られないのだが、支社長からすれば満足のいく説明を受ける事ができたので、ほとんど怒られることはなく、高機能の事で不満を漏らす事はなくなった。

自分が良ければそれでよしとする、この支社長の姿勢にもつくづくゲンナリした。

支社のトップでありながら、周りの大変さなど全く考慮できない、本当に器の小さい最低な人だった。

 

そんなこんなで、私の方が仕事に追われるわ、トンチンカンな動きをする高機能を相手に進めなければならないわで、超絶忙しくなってしまった。

 

こちらの方が忙しくなっても、相変わらず高機能が大変そう、だけど頑張ってるという印象はなぜかそのままだった。