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goru-goru綴り

日頃のもやもやを書き綴ります

懇親会インシデント

前年度まで、年に数度の社内懇親会が義務付けられていた。

年に数度と言っても、数名ずつに分けて行うので、一人が毎回参加するわけではなく、年に一度順番が回ってくるくらいの頻度だった。

毎月でも2ヶ月に一度でも良いのだが、それぞれの支社ごとに決めて、必ず何らかの形で行うようにと、本社からの通達があったのだ。

始まったきっかけは、本社の若手社員からの提案だった。

なかなか自分の意見を言う場がないので、懇親会のような場を設けて役職や年齢を超えた意見交換を行ったらどうか、という提案をしたらしい。

また、当時の社長が、そういった催し事が好きな人だった為、即決まったようなのだ。

基本は昼食会という形で、お酒はなしで行う事という決まりだったのだが、仕事の都合などでどうしても昼食時にメンツが揃わない場合は、夜の飲み会に変更しても良いという事になっていた。

そういった雑事を私が所属する部署の上司が取り仕切っていた。

その当時の上司、つまり、ロボット上司の前任の前任が、とにかく早く帰宅したい人だった為、絶対に昼食会と定めていた。

管理職以上は毎回必ず参加で、他の社員がランダムに選ばれて参加するという形だった。

ちなみに、これは正社員だけの制度だったので、私をはじめとする非正規社員には関係のないイベントだ。

ところが、である。

その昼食会の予定が皆に社内メールで発信された直後、おばちゃんが勢い良く私がいる部屋に入ってきて、いきなり怒鳴りだした。

「なんで、私たちはメンバーに入ってないのよ?!」

やれやれ。

やっぱり怒り狂うと思ってたんだよ。

私は基本的に、会社の飲み会などは好きではない。

どちらかと言えば「メンバーから外されてラッキーだ」くらいに思っていた。

しかも、「さして仲良くもない人と昼飯食いに行くだけ」と思うと、単に昼の休憩時間を拘束されて損したように感じる。

 

だが、どうやらそうではない人がいるのだ。

全く真逆の感覚を持っているおばちゃんは、ひたすら憤っている。

ちなみに、その場に私の上司は丁度いなかったのだが、いないのを良い事にさんざんモンクをたれて出ていった。

それだけなら良かったのだが、この突撃が毎月続く事になるのだ。

我が支社では、月に1回約10名程で、この昼食会を行っていた。

毎月、その日が近くなると、その予定日とメンバーが社内メールの掲示板の欄に掲示される。

それを見て、おばちゃんが毎月モンクを言いに、私の部署へやって来るという流れだ。

本当に面倒くさかった。

「まぁ、社員限定って決まってるみたいだし、しょうがないんじゃない?」

と言うと、

「ええっ?他の支社も正社員しか行ってないと思う?絶対そんな事ないよ!なんで私たちだけ入れてもらえないのよ、変だと思わないの?私たち抜きで会社のお金で昼ごはん食べてさー、ずるいよそんなの!goru-goruさん、聞いてみてよ!ここの上司でしょ、全部段取りしてるの!あの人が勝手に私たちだけ省いてるんだよ!絶対そうだよ!!」

と、ものすごい剣幕で自論を語りだした。

ああ、うるさい。面倒くさい。

「まぁまぁ、他の飲み会なんかには誘ってもらってるんだから、年に1回の昼ごはんくらいは別にいいんじゃない」

と言うと、

「なんでよー!!なんでそんなに平気なのか、ぜんっぜんわかんない!!怒るとこだよね、ここ!そりゃ、goru-goruさんはこういうの好きじゃないから、何とも思わないのかも知れないけどさー!」

とひとしきり怒りまくって、出て行った。

おばちゃんは地声が大きい上にキンキンした声質なので、怒鳴った声はハンパではない。

鼓膜が破れるかと思った。

出て行った後、高機能と顔を見合わせたほどだ。

まぁそのようなやりとりが毎月、懇親会の前後に繰り返されるわけだ。

ある時、高機能に、なんで非正規は外されているのかを聞いてみた。

高機能によると

「僕も詳しくは聞いてないけど、支社長が非正規は入れなくていいって言ったらしいですよ」

との事。

当時の支社長がそのように決めたようだった。

そりゃそうだ。

一番の責任者の判断だろう、どう考えても。

おばちゃんが一番引っ掛かっているのは、おじいさんの立ち位置だったと思う。

非正規の契約社員のおじいさんが、昼食会に参加していたのだ。

と言っても、このおじいさんは元々正社員で、退職後に嘱託社員になり、その嘱託も退職扱いになって、その後契約社員という非正規雇用に変わっていた人だった。

おじいさんは現在の立場は非正規でも、社員からすれば大ベテランの大先輩に当たる。

おそらく、正社員の意見交換会という内容から、食事をしながら仕事の話になるはずで、だからおじいさんもメンツに入っているだろう事は容易に想像がつく。

だが、どうしても参加したくて怒り狂っているおばちゃんには、全く納得できないらしかった。

おばちゃんや私が、正社員と一体何の意見を交換するのかと聞かれれば、私たちが不参加にされている事に激しく納得するしかないのだ。

つまり、これは仕事の一環でも有るのだが、おばちゃんは完全に慰安旅行と同じ様な、福利厚生の一環と捉えていたのだ。

もう一つ、おばちゃんの部署の管理職で、なんでもかんでもからかう様な言い方をする人がいて、その人が懇親会がある度に

「いやー、今日行った店も美味しかったなぁ~。おばちゃん、行けなくて残念だったねぇー」

と、参加できない事をからかっていたようなのだ。

それを言われる度に私がいる部屋にやって来て、爆発して帰っていくのだ。

まぁ、そんなこんなでおばちゃんの怒りをかわしていた年の暮れ、とうとうおばちゃんは忘年会の席で当時の支社長に食ってかかったのだ。

「懇親会になんで私たちが入ってないんですか?!不公平じゃないですか!」

不公平もなにも、そもそも立場が不公平なんだから、それで相応なんだよ~、と思ったのだが、おばちゃんは止まらない。

よほど溜まりに溜まっていたのだろう。

酔った勢いで、どんどん支社長を責めたてて、ここぞとばかりに鬱憤を晴らしている。

当の支社長は、そんな事でそこまで怒っているとは思いもよらなかったらしく、

「ああ、それは気が付かなくて悪い事したね。今度ちゃんとメンバーに入れるように段取りするから」

と答えていた。

というか、答えさせられていた。

うへぇ~、すご過ぎる。

その翌日、おばちゃんが

「昨日、家に帰って旦那に懇親会の事で支社長に訴えた話をしたら、怒られちゃってさ。会社の決まりごとだし、恥ずかしいから、そんなつまらない事でいちいち口挟むなって言われたんだけど、でも不公平は不公平だもんね。言う事は言わないとさー」

とかなんとか言っていた。

旦那氏の手にも負えなかったのか。

その年度の一番最後の懇親会予定に、ちゃっかりおばちゃんと私の名前があった。

一緒にされてはかなわんと思い、私はちゃんと上司に

「私は別に参加出来なくても、何とも思ってませんから~」

と伝えてあったのだが、上司曰く、

「おばちゃんだけ参加だと、また変に勘ぐるかもしれないから、goru-goruさんも参加の方向でお願いします」

と頭を下げられてしまった。

それ以来、おばちゃんと私の名前がきっちり載せられていて、本当にいい迷惑だった。

今年度から、その懇親会の制度は無くなった。

去年の中頃に社長が交代して、無駄遣いするなという通達と共に消滅した。

あー、やれやれ。